ご訪問ありがとうございます!
今回紹介したい絵本は『かぜのでんわ』です。
【写真引用:金の星社】
表紙のうさぎさんは目を閉じて、誰に電話をしているのでしょうか?
それは・・・
もう会えない大切な人です。
電話線のない不思議な電話が紡ぎ出す、悲しくて美しい物語。
岩手県大槌町に東日本大震災のあと設置された風の電話ボックスをモデルにした、絵本『かぜのでんわ』を紹介させていただきます。
いとうゆか・関西在住
小5長男と小1長女と暮らす
事務のアルバイトとWedライター
これまでに我が子に絵本を1000冊以上読み聞かせた(はず!)
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(令和4年3月現在の情報です)
絵本『かぜのでんわ』の作品紹介
絵本『かぜのでんわ』
【作絵:いもと ようこ(金の星社)】
途中までのあらすじ
山の上に一台の電話が置いてあります。
電話線は繋がっていませんが、いつもぴかぴかに磨かれています。
この電話はもう会えなくなった人に、自分の想いを伝えると必ずその人に届くと言われています。
今日も動物さんがやってきましたよ。
注目ポイント
電話の元にやってくる動物さんは受話器を取ると、それぞれにもう会えない誰かへの想いを語りかけます。
ぼく、待ってるから…。
いつもように帰ってきて。
ありがとう!ありがとう!
雨に打たれてうなだれるきつねさんの悲痛な叫びは、見ていて胸が締め付けられます。
ある夜、線の繋がっていないはずの電話がりーんりーんと鳴り出します。
続きはぜひ絵本を開いてみてください。
モデルとなった『風の電話ボックス』
絵本『かぜのでんわ』にはモデルがあります。
岩手県大槌町の佐々木格(ささきいたる)さんが自宅の庭に『風の電話ボックス』を置きました。
それは一人っきりになって、会えなくなった誰かに想いを伝える空間です。
東日本大震災のあと、心の復興のきっかけになればとの想いから設置された風の電話ボックスが絵本『かぜのでんわ』のモデルとなっているそうです。
受話器の横にはこう書かれているそうですよ。
風の電話は心で話します 静かに目を閉じ 耳を澄ましてください
風の音が又は浪の音が 或いは小鳥のさえずりが聞こえたなら
あなたの想いを伝えてください
映画『風の電話』
2020年1月24日には映画『風の電話』(諏訪敦彦監督)が公開されました。
こちらの映画は世界3大映画祭の1つ、ベルリン国際映画祭で若者向け作品対象のジェネレーション14プラス部門で国際審査員特別賞を受賞しました。
その電話に、電話線はつながっていない。しかし、東日本大震災以降、3万人を超える人々が、この場所を訪れている。どうしても話したい大切な人がいる。そこにいるのが当たり前だった家族に、さよならを伝えたい──。
(映画『風の電話』公式サイトより)
東日本大震災で家族を失い、憔悴するハルにかけられた言葉。
『お前が死んだら誰がお前の家族のこと思い出すんだよ』
おわりに
いかがでしたでしょうか?
悲しい想いを胸に抱えた動物たちの、心のよりどころになっている『かぜのでんわ』。
それは岩手県大槌町に実際に設置された『風の電話ボックス』がモデルとなった絵本でした。
- いってきますと学校にいった我が子が家に帰ってくる
- 皆でおしゃべりをしながら晩ご飯を食べる
- あたたかいいつもの布団で眠る
そんな当たり前の日々が愛しく、そして尊く想えますね。
会えなくなった大切な人に伝えたい想いをお持ちの人はたくさんおられると思います。
ありがとう。心配しないで。安らかに…。
最後に今回紹介した絵本です。
『かぜのでんわ』
ありがとうございました!